
海と茶畑が広がる静岡県榛原の総合病院。
周辺の身近な自然物たちを 施設空間に取込み、
一連の現実感ある断片を
点在させ、空間
のレイアウトとともに醸し出した。
人間と環境をつなぐことによって、
人が本来持っている自然治癒力などの免疫力を向上させる。
実物の植物から形どった陶片。
実在の証左としての写真から、その精気を抽出した版画。
患者さんが病院に至るまでの道程や日常的に無意識のうちに出会っている植物
「 クロマツ、茶の木、トベラ、正木、シャリンバイ、ハマヒサカキ、アジサイ、マキ 」
を主モチーフに、生命の様々な在り方をさり気なく想起させる一連の固有な断片として 形を変え繰り返し登場させる。
物質と概念から想起する記憶の片鱗
陶片の生命形態から、様々な意味を読取る目を養うレリーフ。
風景の中に隠れている細部の生命力を思い浮かべる壁画。
概念の抽出 ー 生命の数理・対称性・非対称性
周辺の風景に潜む細部。
空間はわれわれのなかから物をうばい うつしかえる
おまえが樹木の存在を完成するためには
おまえのなかに存在するあの空間 内部空間を樹のまわりになげよ
慎みぶかくそれをとりかこめ
それには限界はない おまえの断念のなかに
すがたをとるとき それははじめて真に樹木となるのだ
( by リルケ: ガストンバシュラール「空間の詩学」より)